日本の土壌汚染対策法に対応できるガスクロを提供します。
この度、従来の規制対象物質(11種の揮発性有機塩素化合物)にクロロエチレン(CE:塩ビモノマー)が追加され、極めて揮発性の高く、実試料での含有濃度が低いCEの定量は、従来のSRI-310 GCでの定量は極めて困難です。当社では従来のパージ&トラップ付8610C GCを改造して、トラップ濃縮加熱脱離ユニット(Thermal Desorption:TD)を組込んだシステムを開発しました。
従来のSRI 310 GCによる試料の直接導入法では、最大でも試料注入量が2ml程度でしたが、高感度法では大量の試料を注入し、試料成分の絶対量を増やして定量精度を上げます。
ここでは試料量を20mlとした例を紹介します。注入された試料中の成分は室温でトラップ管に吸着・濃縮されます。本機では、Tenax-GRとCarbosieveの2本のトラップ管を搭載し、Tenaxを破過した成分はCarbosieveで捉えます。トラップ終了後、トラップ管は200℃にトラップ剤を離脱した成分はバルブ切替でカラムに移送され、分離されて検出器で測定されます。
下表は、日本の環境汚染物質(クロロエチレン:CEを含む)濃度1ppmを直接導入法で
1ml、高感度法で20ml注入したと時にDELCD検出器(乾式電気伝導度)で測定した各ピークの面積値を比較したものです。
DELCD検出器 | CE | 1_1-DCE | DCM | c-1_2-DCE | 1_1_1-TCA | CCl4 |
直接導入法 | 90.0948 | 201.8636 | 297.068 | 285.7204 | 431.6086 | 699.6992 |
高感度法 | 1303.4 | 3539.805 | 4869.262 | 4129.34 | 3794.996 | 4551.894 |
倍数 | 14.47 | 17.54 | 16.39 | 14.45 | 8.79 | 6.51 |
DELCD検出器 | 1_2-DCA | TCE | c-1_3-DCP | t-1_3-DCP | 1_1_2-TCA | PCE |
直接導入法 | 490.78 | 412.4508 | 254.5804 | 147.4858 | 470.904 | 585.197 |
高感度御法 | 5683.914 | 6218.242 | 2731.964 | 1135.106 | 4384.696 | 7197.745 |
倍数 | 11.58 | 15.08 | 10.73 | 7.70 | 9.31 | 12.30 |
倍数は、各成分により異なりますが、高感度分析法は、少ないものでも6倍、多いもので17倍の感度を得ることができます。実試料で低濃度が予想されるクロロエチレンの場合は、14.47倍となるため、定量精度は大幅に改善されます。